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中日の学者海洋共同体構築の可能性めぐり議論=CASS東海研究フォーラム

CRIPublished: 2023-04-19 17:39:43
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中国社会科学院(CASS)東海研究フォーラムによるシンポジウム「中日海洋関係および海洋運命共同体構築」が18日に北京で開かれました。主催はCASS東海問題研究センターおよび日本研究所。オンラインも併用され、中日双方の学者や専門家ら40人余りが参加しました。

会場の様子

開会に際し、CASSの甄占民副院長は「東海は中日両国はもちろん、東アジア各国も十分に受け入れる広さがある。中日は共に海洋環境を守り、海洋の持続可能な発展を促進することを目標に、対話・交流を強化し、互いのやり方を参考にし、学びあい、多国間協力をけん引し、各側や世界にとって有益で、長期的視点を有する国際公共財を作り出すべきだ」と指摘しました。

開会の挨拶をする中国社会科学院・甄占民副院長

日本研究所の楊伯江所長は、中日が各レベルの対話を再開させた最近の動きに触れ、「二国間の海洋関係の安定化、食い違いのコントロール、協力の展開において、基本的な共通認識と共通したニーズがある」とし、「海洋に基づいた絆は客観的に存在している」と述べました。そのうえで、「両国は互いに尊重し、依存し、受け入れ、海洋問題で安定した関係を構築し、中日海洋運命共同体の構築を推進する必要がある」と指摘し、両国の学者がそれに向けて研究を深めることに期待を寄せました。

開会の挨拶をする社会科学院日本研究所・楊伯江所長

特別講演の部では、中国歴史研究院の李国強副院長が「中日双方が、二国間の海洋問題をグローバルな海洋ガバナンスという大局の中に置いてとらえ、中日海洋運命共同体の構築を使命とし、ブルーパートナーシップの構築をめざし、世界海洋ガバナンスの建設者、海洋の持続可能な発展の推進者、国際海洋秩序の擁護者にならなければならない」と示しました。

また、中国-東南アジア南海研究センターの呉士存理事会主席は「南海の平和と安定は、周辺国の共通した願いであり、国際社会の普遍的な期待でもあり、日本自身の利益にも合致する。日本をはじめとした域外諸国は、域内情勢の『非軍事化、非対抗化、非陣営化』を念頭に、関係各側が意見の相違を管理し、安全で、安定した、秩序ある海洋情勢の形成に向け建設的な役割を発揮すべきだ」と強調しました。

シンポジウムでは「中日海洋関係の歴史的変遷」「中日海洋関係の現実問題と対応」「中日海洋協力の将来性と運命共同体の構築」という3つの議題が設けられ、海上紛争の解消、海洋協力の深化に向け、実行可能な取り組みをめぐり議論が行われていました。

日本側の参加者では、静岡県立大学グローバル地域センター客員教授、日本外務省条約局元局長の東郷和彦氏が、明代における中日の海洋関係を振り返りました。東郷氏は、今日への示唆として「①相互利益を生む経済関係の重要性②徳治主義を基礎とする統治のありかた③平和の中でのみはぐくまれる豊かさと美の国づくりの重要性を伝えている」と総括しました。日本財務省財務総合政策研究所特別研究官、東京大学名誉教授の河合正弘氏は「日中、そして東アジアで、安定的な海洋秩序をつくることが極めて重要」とし、海洋問題に関する恒常的な対話制度の創設、グローバル・地域コモンズとしての海洋の維持、持続可能な形で利用するための協力の推進などといった点から、日中海洋共同体構築の可能性の模索を始めるべきだという考えを提言しています。

出席者の記念撮影

CASS東海問題研究センターは、2021年3月に立ち上がった研究課題・プロジェクトベースの「非実体研究機関」で、東海研究フォーラムによる国際学術会議は今回が2回目です。

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